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生物多様性条約ー締約国会議

「条約」と言う言葉の意味を調べると、「国際法にもとづいて成立する国際的合意であり、国家および国際機構を拘束する国際的文書が条約である。」と載っていた。イメージとしては、決まりごとの文書を先に作りそれを良しとする国々が加盟するようなものだろうか。

ところが、この生物多様性条約は1992年に採択され、日本も翌1993年に加盟しているが、その時点では生物多様性は尊いものという漠然とした共通認識だけの条約であった。国連環境計画の強いプッシュがあって条約と言う骨組みができたが、その後の加盟国で行われる話し合いによって多くの議定内容が作りあげられていくという変わった条約である。それも当然と言えば当然で、生物多様性は漠然と尊いと思われていても、どのくらい大切なのか、守ることによって負うリスクはなんなのか、そういった議論は90年代に始まったばかりだった。プロセスや落とし所は当時の専門家にすらぼんやりとして見えない中で、それでも条約にして国際的に取り組むべき大問題がそこにあると、当時の各国のリーダーは認めたのだ。今年には世界192の国々が締結している(アメリカは締結していない)。

この条約で定めている基本的な目的は3つ。

(1)生物多様性の保全
(2)生物多様性の構成要素の持続可能な利用
(3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分

(1)は、まぁそりゃそうだ、という感じ。(2)は生物多様性をもつ自然を資源として利用することを許すものだ。自然愛好の域を出て人の営みと結びつけ資源として利用しつつも持続させることをうたっている。
そして(3)なのだが、生物多様性の高さを示す指標となる遺伝資源、そこから生まれる利益を多様性の保有国(経済的途上国が多い)と利用国(経済的先進国が多い)の間で公平に分けようじゃないか、ということをうたっている。ぱっと見、この(3)だけ重箱の隅をつついているようにも感じる。

ヒトも含めた生物群集における生物多様性の絶対的な価値の議論はひとまず置いて、付加価値となる経済的価格をそこに付けてあげることで認識をしやすくすることが(3)をうたった目的だと思われる。日本人の主食は米だが、その遺伝的ルーツは東南アジアであることが知られている。米を買った代金の一部がそれらの国に支払われるようになるかもしれない。また、花屋で見る色とりどりの花々のほとんどが外国種を掛け合わせた人工の品種だが、やはり代金の一部は遺伝的原産国に払われるようになるかもしれない。消費による売上の一部が、遺伝資源のより豊かな国(≒生物多様性の豊かな国)へより多く配分されるという仕組みだ。そうなると、途上国と言われる多くの生物多様性の豊かな国々が、自国の自然を経済的に価値有るものとみなし、積極的な環境保全が経済活動の一部になり一挙両得、というシナリオを描いているのだと思う。

これまで、豊かな自然環境について思想的宗教的意義しか語られなかった現代において、この取り決めは「豊かな自然があること」自体が「経済的に価値あること」なのだという新しい尺度を与えるものだ。これは産業革命以降の人類史において画期的なものである。

とにかく、立場の違う国々の間に、上の3点に基づいた共通のルールを作るのが、締約国会議である。そして、2010年の10月に名古屋で開かれた10回目の締約国会議(COP10)で上の(3)に関わる重要な名古屋議定書がようやく採択された。

名古屋議定書 概要
(Wikipedia:名古屋議定書より)

●遺伝資源と並び、遺伝資源に関連した先住民の伝統的知識も利益配分の対象とする。
●利益には金銭的利益と非金銭的利益を含み、配分は互いに合意した条件に沿って行う。
●遺伝資源の入手には、資源の提供国から事前の同意を得ることが必要。
●多国間の利益配分の仕組みの創設を検討する。
●人の健康上の緊急事態に備えた病原体の入手に際しては、早急なアクセスと利益配分の実施に配慮する。
●各国は必要な法的な措置を取り、企業や研究機関が入手した遺伝資源を不正利用していないか、各国がチェックする。

ここにたどりつくまでの年月の長短はともかく、この議定書が採決されたことを僕は高く評価している。そして、これが世界的価値観の変化の曙光となることを期待している。

S510 001


そして今年、2012年10月8日から19日まで、インドのハイデラバードで11回目を数える締約国会議(COP11)が開催されている。今回、個人的に注目している点は前回の会議で「愛知目標」として掲げられた「(各地で進む生物多様性の損失に対して)国際社会が2020年までに実効性のある緊急行動を起こす」という文言に対する各国のその後の対応である。どのようなことをするのかという詳細は、戦略目標として細かく掲げられている。(Wikipedia:愛知ターゲット参照)

実は2002年の会議で「締約国は現在の生物多様性の損失速度を2010年までに顕著に減少させる」という2010年目標を採択しているのだが、それはうやむやになり事実上達成できなかった。そもそも目標自体が漠然としていて何をするのかも分からない。
そして来た2010年、愛知で開かれた会議で次の2020年を目標にしたのが上の愛知目標であった。前目標の反省を踏まえて各国がどれだけ取り組みを始めているのか、が気になる。正直、内容については悲観的な予想をしているが、そんな憶測を打ち破るような会議になってほしいと願っている。

その他の関連資料:

環境省 報道発表資料 2012年9月28日
「生物多様性国家戦略2012-2020」の閣議決定について(お知らせ)

日経ビジネス オンライン 2012年9月28日
名古屋議定書に日本はどう対応する? 国内措置に関する話し合いがスタート

大和総研 2012年10月2日
生物多様性国家戦略2012-2020」閣議決定

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